幻の鳥 コジュケイ
1980年頃の大阪城定例探鳥会鳥あわせは、教育塔横の藤棚の下で
行われていた。その場所に向かって移動中に突如聞こえた朗らかな囀り
「ピッピッピッピュクヮイ・ピッピュクヮイ」 。リーダーの村浜さんが「チョット
コーイ」 「コジュケイや」 と呟き双眼鏡で探し始める。新入りの私は
キョロキョロするだけで声は消えてしまった。「どうやら百舌に騙された
らしい」とリーダーに聞かされ、鳥の世界の面白さにのめりこむ一因に
モズとコジュケイが心に残った。
図鑑で見るコジュケイは私好みの小太りおばちゃんスタイルだ。
1919年に中国から連れてこられて、日本の草・昆虫・気候が合ってあち
こちで繁殖しているらしい。しかし私は1度も見ていない。
ヤマセミ探しで道場へ行った時・長命寺ヘスケッチにいった時・2度とも
声はすれども姿は見えずだった。あれもやっぱりモズだったのか?
三年前に 幻のコジュケイを図鑑に頼って、100号の隅っこに描いた。
なんとそれが石井柏亭賞を戴く。
賞よチョットコイのコジュケイの声が天
に届いた。
今年日展出品にもコジュケイを私のサインのつもりで入れた。
それが初入選した。
絵では重なる幸運が鳥見にもあって、実物が見られ
ますように祈る。