珍鳥さん、いらっしゃいな。
「頭が紫色のカモが堀にいたっ」日頃から大阪城で珍鳥を見つけたいと願っている私を喜ばせようと、エイイッチャンは息せき切って帰ってきた。それは日陰にいたマガモだった。前のヤツガシラの時も「やまたのおろちみたいな名やな」と言い興奮する私に「早よう行って見」と急かしてくれた。
その人が3月7日、折り紙の鶴に乗って遠い所へ行ってしまった。元気になって退院する日を待ち焦がれて折った鶴なのに‥‥。
3月30日、昨秋から途絶えていた鳥見に久しぶりに出かけたら、ヤツガシラに出合った。「遠くへ行ったんやない。側にいてテレパシーで導いたるで」と言われた気がした。
コノハズク・アカショウビン・ヤイロチョウ・ブッポウソウ・その他思いがけない珍鳥を連れてきてな。誤報でもいい、あんたからのメッセージやと思うから。頼んまっせ。エイイッチャン
53号掲載(2002年5月)