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十年前の体験談
大阪城の昭和天守閣は今年傘寿を迎えた。
鳥見を始めて30年になる私は、壮年の天守閣や野鳥と共に齢を重ねた。
想定外の珍鳥や、身近な野鳥の思いがけない仕草を見せてもらってきた。
いつも自転車で登城する。
ある日桜広場で押して歩いていたら、ハシブトガラスがヒョイヒョイと近づいて、矢庭にサンダルからはみ出た足指をつついた。大きな嘴で挟み込みねじ切ろうとまでする。「痛いがな！止めてえな」。人馴れしたカラスは荷台にまで飛び乗って来た。
その一部始終がＮＨＫのビデオレターで放映されたらしい。日頃疎遠勝ちな山形の親類から「元気な顔がテレビに出てて吃驚したわ」と電話があった。
残念！私はテレビを見ていない。
こんな事も在った。
桜門の前で狂ったように泣き叫び、ピョンピョン跳ねているスピッツ。その背中には大きなカラスがロデオさながら、爪を立ててしがみついていた。バサッ、バサッと子犬に覆い被さる黒い翼に「キャーッ！助けてー」
飼い主らしい女性の悲鳴。集まった観光客の叱咤をものともせずに、ひとしきり遊んだロデオカラスはふいっと飛び去った。
今晩のご馳走にするつもりだったか？
思い出話を並べたのは、私の愛車が一ヶ月前に盗られて大阪城に行き辛くなったためだ。
その愛車が見つかった。谷四の駅前で盗られたのが近所のビルの足元に放置されている。ラッキー！嫁さんが見つけてくれた。
さあ 秋の渡りをボロ愛車に乗って、Ｍさんのようにコサメ・エゾ・センダイを探しに行こう。サンコウチョウもいるかも？
探鳥力の弱い私はカラスがお似合いかな。
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