声はしないが姿は見えた。
怪鴟、蚊吸鳥、虫食い鷹、糞鳶、これは皆夜鷹の呼び名。可愛げが無いなあ。忍者鳥にしたらどうやろ。そのヨタカに今年は2度も出逢った。初夏、焔硝蔵裏の見通しの良い枝で、無防備に眠っていた。初秋、10月5日は桜広場の柵上にいたらしいのを、不用意に踏み込んで飛ばしてしまった。幸いに楠の横枝にとまった。♂か♀かと見詰めていたら、憎たらしいカラスがおちょくりに来た。ヨタカはふわふわ飛び回っていたけど執拗さに堪忍しきれず、堀を越え博物館裏へ行ってしまった。「ストーカーカラス奴」ゴミ袋を引き裂き、撒き散らすあんたは嫌い。ひげ付きのおちょぼ口を喝っと拡げて飛び回り補虫するヨタカ、ユーモラスで好き。
「声はすれども姿は見えず」の野鳥たちの中で、とびきり上手な擬態のヨタカくん来年も来てね。実は補虫網に化けて飛ぶ姿やキュウリ刻みと言われる声を、私は見たことも聞いたことも無いの。来週は見られるかな。
44号掲載(2000年10月)