う・ら・め・し・や
寒風吹き曝しの国旗掲揚台に十人余りのカメラマンが屯している。ヘリポートに動けぬドバトを置いて、オオタカが襲う瞬間を撮影しようとの算段らしい。
今冬は寒かった。巷には毛皮コートのご婦人が増えた。動物の命と引き換えのおシャレだ。キツネの襟巻きは、だらりと下がった尻尾と四足の間からガラスの目玉で虚空を見つめている。着用の女性達は生き物の怨念を身に纏っているとは思わないの?この暖かい大阪では暖房の利いた乗り物や地下街で大汗をかいて風邪を引きまっせ。
毛皮着用が許されるのは極寒で生活する人だけと思う。オシャレや趣味で生き物の命を奪うなんて・・
と言う私も羽毛布団を愛用しカモを賞味した。フランス料理の大皿にちょこんと乗っている骨付き腿肉はか細く儚げだった・・
可憐な夏鳥達は皮を剥いだり、食べたりしないよ。早く来てね。大阪城はあちこち工事中で落ち着かないけど辛抱してね。
72号掲載(2006年2月)