仮親さんに御礼を言いなはれや!
今年も淀川の河川敷でカッコウが鳴いていたそうな。私が大阪城で聞いたのは何年前だったろう。その時思わずカッコウワルツを口ずさんだ。明るく広がった尾瀬ヶ原にいる気分になった。
音楽にも取り入れられる朗らかな声はとても魅力的だけど、托卵行動はどうも好きになれない。せっせと餌を運ぶ仮親たちに「あんたらの卵を放り出した鬼っ子やでぇ、そんなに一生懸命給餌をせんでもええ!」と言うてやりたい。でも大きな赤い口と餌をねだる切ない声は、堪らなく母性本能をくすぐるのか。
淀川で営巣しているオオヨシキリ・ホオジロ・モズの諸君、あなたの愛の巣は大丈夫か、ご用心、ご用心、抱卵中の巣に近付いてはいけない。けどカッコウの雛の暴君・小悪魔ぶりは覗き見してみたいな。
大阪城では望めないけど。
59号掲載(2003年7月)