初めて大阪城公園を訪れる方に、探鳥ポイントやコースを案内します。
園内に案内板があるため表示していませんが、トイレや売店も各所にあり、気軽に野鳥が楽しめる都市の公園です。山野で観察するより野鳥の密度が高いことが大きな魅力です。
最寄り駅は、JR環状線の大阪城公園駅か森ノ宮駅、地下鉄中央線の森ノ宮駅です。
最近に出ている鳥は、このホームページの「元山裕康のこんなん出てます」をクリックしてください。直近情報が分かります。
マナーを守ってバードウオッチングを楽しみましょう。
※地図をクリックすると大きな地図が別ウインドウで表示されます。
1. 太陽の広場東側の森~記念樹の森~市民の森~噴水
JR環状線の森ノ宮駅から大阪城公園駅間と、道路を挟んで並行に広がる一帯。
林床は落葉がつもり雑草が伸びて、他所に比べ自然度は高い。春秋の渡りの時季には、メボソムシクイなどムシクイ類、キビタキ、オオルリ、コサメビタキなどヒタキ科など。時にはアオバズクやサンショウクイのほか、フクロウの記録も。ジュウイチやホトトギスの声が響く。林床にはクロツグミ、マミジロなど。ツツジなど低い植え込みの中ではコマドリ、ノゴマ、コルリ、ヤブサメなどの夏鳥が見られる。
秋から冬には、ツグミ、シロハラ、キジバトなどが林床で採餌し、アトリ、カワラヒワが群れる。年によってトラツグミやルリビタキが越冬。オオタカやハイタカなどタカ類が上空を飛翔したり高い枝にとまったりしていることも。
2. 音楽堂西側上通路
音楽堂側が低いため、目線の高さで観察することができる観察ポイントのひとつ。
春秋の渡りの時期には、キビタキ、オオルリなどヒタキ科、ムシクイ類、サンコウチョウなど。時にはノジコやコムクドリなど。植え込みの中では、コマドリ、ノゴマ、ヤブサメなど。春にはコマドリやコルリのさえずりも。
冬期間はアオジ、シロハラなどが越冬。年によりエナガ、ヤマガラなども見られる。これまでに珍しい種として、キマユムシクイやアカショウビンなどが観察されたことも。
3. 城南駐車場~南外堀~教育塔
南外堀と中央大通りの間の一帯で城南地区と呼ぶ。主に南外堀と教育等周辺から人工川が観察ポイント。
南外堀のカモは近年少なくなっているが、ヒドリガモ、ホシハジロ、キンクロハジロなどが見られる。これまでにオシドリ、アカハジロ、アカハシハジロ、メジロガモ、ミコアイサなどが見られたことも。
カワウが年間を通して見られ越冬ササゴイも。人工川ではコサギがドジョウなどを採餌し、アオサギやカワセミも時々来る。
4. ヘリポート~梅林南側上桜広場
観察ポイントのひとつでコウライウグイスの記録もある。春秋の渡りの時期には、大阪城公園で記録のある夏鳥のほとんどを記録。梅林側に沿って植栽されているウバメガシの中はコマドリ、ヤブサメ、コルリの観察ポイント。
ヘリポートではキビタキ、オオルリが近い。秋にはノビタキが見られることも。またアリスイも比較的よく観察される。
5. 梅林
春秋の渡りの時期はツツジの中でコマドリ、ノゴマ、コルリなど。秋冬はツグミ、シロハラ、ジョウビタキなど。梅花の時期はメジロがお勧め。南部の石垣沿いの林も注意。
6. 一番やぐら~豊国神社裏~修道館裏~六番やぐら
穴場的な場所で一般の観光客が少なく見やすい。春秋にはほとんどの夏鳥が記録されている。ツグミ科、ヒタキ科、ムシクイ類、カッコウ科、サンコウチョウなども。過去にミソサザイやオオジシギの記録も。
秋冬にはシロハラ、ツグミ、ジョウビタキなどが越冬し、時にはルリビタキも越冬。
7. 大手門~大手前
大手門の北側が西外堀で、カモの数は多くないが大阪城公園唯一記録のトモエガモ、珍しいバン、オオバンなどが観察された場所。
向かいに見える西の丸庭園の石垣にはカワウやゴイサギが休む。また西の丸庭園内の木にオオタカがとまっていることがある。
8. 西の丸庭園
大阪城公園では、ただ一か所の有料の場所。普段は人も少なくのんびり探鳥を楽しみたい人にはお勧め。毎週月曜日は休園日。
春秋の渡りの時期にはオオルリ、キビタキなど。特にジュウイチやツツドリなどカッコウ類も比較的よく見られる。これまでにアオバズク、ヨタカ、芝生上でコチドリなども。
秋冬にはツグミ、ジョウビタキ、カワラヒワなどが越冬し、特に開園時間の9時に入園するとオオタカ、ハイタカなどに出会うことも。奥の茶室周辺はアカショウビン、ヨタカなど珍しい鳥の記録もある。
9. 空堀
水のない空堀で草原のような環境である。季節によりノビタキ、ベニマシコ、ヤマシギ、ミゾゴイなどが観察されたことがある。本丸側の石垣ではイソヒヨドリもよく見られる。
10. 本丸~山里丸
冬期間は日本庭園の池でカワセミが近い。アオサギ、コサギなどが採餌していることも。元博物館は、普通の夏鳥のほかコイカル、ムギマキ、ヤツガシラ、レンジャク類などが記録された。天守閣東側の配水池も探鳥ポイントのひとつ。これまでにヤツガシラ、オジロビタキ、ヨタカ、サンコウチョウなどなど珍しい記録も。天守閣北側の一段下がった所が山里丸でこの場所も一通り探鳥したい。
11. 内堀
近年は北外堀とともに最もカモが越冬する場所。大阪城公園で普通に観察できるカモは、ほぼすべて見ることができる。他にセキレイ類やユリカモメ。
12. 愛の森~飛騨の森
数年前に「都市緑化フェア」の会場になり整備された。植栽された木々も落ち着き、落ち葉も増えて良好な環境になってきた。見逃せない場所のひとつで、北外堀も合わせて観察できる。
キビタキ、オオルリ、サンコウチョウなど樹間に夏鳥が見られ、周辺のツツジの植え込みの中にはコマドリ、ノゴマ、コルリ、ヤブサメなど。冬季にはツグミ、シロハラ、ジョウビタキ、ルリビタキなど。過去にはカヤクグリやホシムクドリの記録もある。
13. 北外堀
近年はもっとも多くのカモが越冬する。特にキンクロハジロ、ハシビロガモなどが多い。時にスズガモも。ほかにユリカモメ、カワウ、ササゴイなど。過去にカモメ、コアジサシ、ハジロカイツブリ、クビワキンクロなどの記録も。
14. 桃園~第二寝屋川
桃園まで観察に来るバーダーは少ない。隣接する第二寝屋川では冬季ユリカモメが多く、他にセグロカモメ、アオサギなどが舞う。夏季にはまれにコアジサシも観察される。
●お勧め探鳥コース
所要時間は早足で3時間、ゆっくりで5~6時間。
1.太陽の広場東側の森~記念樹の森~市民の森~噴水 → 2.音楽堂西側上通路 → 4.ヘリポート~梅林南側上桜広場 → 5.梅林 → 6.一番やぐら~豊国神社裏~修道館裏~六番やぐら → 9.空堀 → 10.本丸~山里丸 → 11.内堀 → 12.愛の森~飛騨の森 → 13.北外堀 → 14.桃園~第二寝屋川
冬季は、3.城南駐車場~南外堀~教育塔。7.大手門~大手前。を追加するのがいいだろう。
8の西の丸庭園は有料9時開園なので、時間に合わせて回りたい。
所要時間は2時間から3時間。春秋の渡りの時期。
2.音楽堂西側上通路 → 4.ヘリポート~梅林南側上桜広場 → 6.一番やぐら~豊国神社裏~修道館裏~六番やぐら → 10.本丸~山里丸 → 12.愛の森~飛騨の森 → 8.西の丸庭園
大阪城公園のバードウオッチング参考図書
・観察記録集
1.大阪城公園の野鳥(元山裕康)
B5版197頁2000円。希望者は元山までご連絡ください。
・探鳥案内
1.関西周辺 探鳥地ガイド(山と渓谷社) 2.日本の探鳥地 東海・西日本編(文一総合出版)