カモたち。ヨシガモ。
いつから好きになったんだろう。もともと強い関心はなかった。
意識し始めたのは、メジロガモに出合ったときか。クビキンだったか。それとも・・・・。よく思い出せない。
気付いたときには、あらたな出合いを待つようになっていた。次のカモを密かに思いめぐらせていた。
やがてヨシガモが毎年飛来するようになった。悩まされたのが、エクリプスと♀の識別だった。そのため堺や豊中の小さな池、服部緑地などヨシガモの見られる場所を訪ね歩いた。
大阪城でも、やや換羽が進んだ個体も見られるようになったが、三大美型ガモと言われる、完全な成鳥羽になるまでに去ってしまうのが常で、まだ観察したことはない。
完全な♂の成鳥を初めて見たのは京都の深泥池だった。ずいぶん昔の事だが、立派なナポレオン帽子の美しい姿は忘れていない。
思いついてネットで検索すると、深泥池は「京都で最も知られる心霊スポット」とある。
当時はそんな事を聞いていない。知っていたら、病院の裏の暗い小山の中へ一人で入っていくのは気味が悪い。美しいヨシガモの後ろに怪しいものなど見なかった。
先日、南外堀をのぞくと、中ほどにカモの影が見える。2羽だ。双眼鏡を目に当てるが遠くてはっきりしない。感じではコガモのようだ。1羽の方がやや大きい。
あわてる事はない、ゆっくりと堀沿いに西へ進む。カモがだんだん大きくなってくる。1羽はやはりコガモ。そしてもう1羽はヨシガモだ。
「おう!ヨシガモか」と思わず声が出る。春まで滞在して美しい大人の姿を見せてくれるだろうか。
そして、次にやって来るのは何だろう。アメリカヒドリまたはホオジロガモか。超常現象でも起こって、大きく予想を裏切ってくれないか。