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タイトル81 自己紹介へ

イソヒヨドリ

鳥はさっぱり。クマゼミばかりうるさくて、ついつい冷蔵庫のビールに手が伸びてしまう。春の鳥たちが懐かしい。
ふと頭に浮かんだのは、先月まで餌を一生懸命に運んでいたイソヒヨドリだ。空堀の西部、太鼓やぐら跡の辺りで待っていると頻繁に現れ、しかも近い距離でじっくり観察できた。イソヒヨドリの繁殖行動は、昨年に続いて2年目。
石垣の角に現れ、しばらく辺りを見回し一気に飛び出して虫を捕える。ムカデやクモをくわえたくちばしは、ちょっと気味が悪い。
飛び立つと必ずNHKの方へ向かった。昨年と同じ方向だ。同じ辺りに餌を待つヒナがいるのだろう。
初めて大阪城公園で、イソヒヨドリに合ったのは20年も前の秋だった。その時の出合いも忘れていない。歳月が過ぎても瞬時に思い浮かべることができる。
当時の撮影記には、次のように記している。

(イソヒヨドリ)
ほとんど鳥がさえずらないこの時期に、突然美しいさえずりが耳に入ってきた。とっさに鳥種が思い浮かばず、頭の中でページを繰っていると、ツグミ大の鳥が樹林の間から飛び出し石垣の上にとまった。
望遠レンズのピントを合わせると、うろこ状の模様が目に入り下尾筒の赤褐色が逆光に光る。
「イソヒヨドリ」と口に出したのは娘と同時だった。数枚のシャッターを切る間もなく堀の下へ飛び降りた。体を乗り出してのぞくと、石垣から伸びた木にとまってすぐに飛び去った。
青藍色のうろこ状の模様や、下腹部から下尾筒の赤褐色などから♂の若鳥と思われる。
京都の鳥友N氏が、イソヒヨドリのさえずりは、人間でも「ふらっ」となってしまうほど魅力的で、引き込まれてしまうと話したことを思い出した。
ほんの数秒間の美しい声が耳に残り、飛び去った方を見つめながら呆然としている自分に気づいた。(1992.10.2 豊国神社裏)

イソヒヨドリの写真

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