赤い鳥、アカゲラ。
豊国神社裏で一人の男性と出会った。興奮冷めやらぬ様子で、図鑑でしか見た事がないアカゲラが突然目の前に現れた。心臓が高鳴り頭は真っ白。カメラを向けることも忘れていた。「完全に負けた。貫禄負けや!」と言う。
次に出会った時、余裕の顔で私に写真を見せた。
しばらく見つからなかったので、赤い帽子をかぶって来たら、毎回出会うようになった。7日間で7回も出会ったと、赤いキャップを被ってうれしそう。
毎日のようにアカゲラの観察情報を耳にするが、私はいい出会いがない。
そこで、赤いシャツを着込んで出かけた。ファッションには関心がないが、襟元に見える赤がお洒落だと言われたことがある。たまたまユニクロで暖かそうだと買っただけ。でも悪い気はしない。
そして西の丸庭園に入ると、突然アカゲラが現れる。赤の効果は抜群。これほどすぐに出会えるとは。
タクシー運転手の話しを思い出した。奥さんが寝室のカーテンやベッドカバー、照明などすべて赤色に変えてしまったそうだ。元気が蘇るようにと。
ところが彼は、運転中急いでいる時に限って、次々と赤信号に引っかかりいらいらする。仕事を終えて帰宅すると寝室が真っ赤。ストレスがよみがえって逆に元気が出ない。嘆き顔で赤はあかんと。寝室を青に模様替えしたかどうか聞かなかった。
面白い色の効果。鬼に笑われるかもしれないが、来春は8色のシャツを特注してヤイロチョウでも待つか。