13目34科104種を記録。
2004年(平成16年)大阪城公園で観察された野鳥
●記録種の数は大きな変化なし。
前年の14目35科101種と比べ1目1科減3種増である。過去10年間の記録と比較して、多少の入れ替わりはあるが、年間100種強と大きな変化はない。
大都市の中央にある公園にもかかわらず、日本の野鳥の約20%が毎年観察されることは興味深い。
●大阪城公園の初記録種なし。
初記録種は2003年に引き続き今期も観察されなかった。比較的稀な飛来種は、ミゾゴイ、オシドリ、ケリ、アマツバメ、ヤツガシラ、アオゲラ、キレンジャク、ベニマシコ、カケスなどである。
●オシドリ2回、4羽飛来す。
カモは11種を記録し、ほぼ例年と同じだが、稀に飛来するオシドリは3/28西外堀で♂♀2羽と12/21南外堀で♂2羽と計2回4羽観察された。
いづれも当日のみで、翌日には見られなかったが稀な記録である。季節的な移動時に偶然堀に下りたものだろう。
●オオタカ少なくハイタカが。
オオタカは前年も少なかったが、2004年は3回の観察のみで大きく減少した。入れ替わってハイタカが前年よりわずかに増加し、夏季を除き年始から春まで、また秋から年末まで断続的に観察された。
●ケリ3年ぶりに上空飛びまわる。
4/28朝に一羽が激しく鳴きながら上空を飛び回った。園内のどこかに下りていたものかは不明。本種は2001/5/6上空飛翔以来の、久々の飛来である。
●カッコウは観察なし。
前年は杜鵑4種を記録したが、今期はカッコウが観察できず、3種のみだった。
ジュウイチは5/1に1羽の観察のみ。ツツドリは多く、秋の渡り期間中は毎回のように出て1日に3羽観察された日もあった。ホトトギスも春秋とも比較的よく観察された。
またツツドリ、ホトトギスとも西の丸庭園で赤色型が見られた。
●アオバズク観察数0。
昨年、一昨年ともに1羽のみで減少傾向であったが、2004年は一度も観察されなかった。
大阪府内での営巣の調査を少しずつ進めているが、巨木は厳しい状況である。全国レベルで巣箱の設置を検討する時期にきているのではないだろうか。
●カワセミはよく見られる。
繁殖期を除いて1~2羽がよく見られた。特に城南地区の人工川や本丸庭園池では一日に何度も現れた。 近い距離で撮影できるためカメラマンが多い。他の公園利用者とのトラブルなど、公園事務所から撮影禁止などの措置が取られないか危惧している。
●サンショウクイは一日のみ。
秋の渡りに1回観察されたのみで、幸運な人でなければ大阪城公園で出合うのは難しくなってきた。
全国的にも減少が伝えられるように本種の観察は今後ますます困難になるだろう。
●今期はキレンジャクも。
レンジャクの当たり年だった前年も、キレンジャクは観察出来なかったが、2004年は3月から4月にかけて飛騨の森や市民の森などでヒレンジャクとの混群がよく見られた。最多日は3/19で合計31羽の混群。
●ノゴマ期間も長く飛来数も多い。
ノゴマは例年春より秋の渡り時に多く見られるが、今秋は10/3の初認から11/12の終認まで、長い期間にわたってよく見られた。
一日に複数羽が見られる日もよくあり、最も多かった10/17は梅林、山里丸、西の丸庭園、天守閣東側配水池などで、♂3羽と♀2羽の合計5羽が観察された。
●ノビタキは過去最多。
数年に1羽が見られる程度の珍しい種であるが、2004年は10月中に数回観察され、特に10/17にはヘリポートや空堀で計6羽が観察された。これまでで最も多い観察記録である。
●トラツグミ例年並に戻る。
前年は本種の当たり年で多かったが2004年は1羽ないし2羽が見られる程度でほぼ例年並の観察となった。
ただし、12月下旬から市民の森へ3羽+が飛来している。
●クロジなどエンベリザ多し。
2004年はカシラダカをはじめホオジロ科の鳥がよく見られた。特にミヤマホオジロは市民の森、みどりのリズム、梅林、ヘリポートなどでこれまででもっとも多く観察された。またクロジも豊国神社裏や梅林など各所でよく見られた。
●イカル100羽を超える。
1月下旬から3月下旬にかけて各所でよく見られ、多い日には100羽を越すことが何度もあった。春には飛去したが、10月ごろに再び飛来、12月にかけて日増しに増加し、100羽近くにもなってもなお増加が続いた。
大きな群れは中央大通り沿いの林床でサワグルミの実を採餌していた。
●カケス5年ぶりに出現。
10/6から10/11に音楽堂西側上や飛騨の森、西の丸庭園などで2羽が一緒に観察された。
前回は1999年10月中旬に、1羽が梅林南側上の桜広場周辺に数日間滞在したが、それ以来実に5年ぶりの珍しい観察である。
67号掲載(2005年2月)