クマも鳥も山から下りてきた
知らぬ間に家に上がりこみ昼寝をしていたという驚くような出来事や、振り返ると眼前に顔が迫っていたという恐ろしいクマの話題が新聞やテレビを賑わしている。
バードウオッチングは小さな羽音も聞き逃さないよう静かに行動するのが基本だが、クマとの出合いを避けるには鈴などで大きな音を出すのが良いそうだ。困ったことだ。
記録破りの台風上陸や猛暑で、どんぐりなどが不足して下りてきたと言われている。
射殺されるニュースを見ると胸が痛む。今年に入ってすでに千頭近くが射殺されているそうだ。殺すだけでは根本的な解決にならないだろう。
また餌不足になるのはクマだけではないだろう。シカ、サル、イノシシ、タヌキなどの動物はどうしているのだろうか。そして野鳥たち。今秋はいつもと違うようだ。
カケスは10/6に飛騨の森から飛び出した2羽が北外堀を飛ぶ。10/11には音楽堂西側上や西の丸庭園で各2羽が見られている。
ここではカケスは珍鳥の部類だ。これまで数回の記録しかない。直近では1999年10月に1羽が見られたのみで実に5年ぶりの出現である。
アカゲラは10/9に♂1羽が市民の森で観察された。翌日は城南地区、音楽堂西側上、飛騨の森と園内を大きく移動していた。残念ながら翌11日市民の森が終認となった。本種も2000年10/1豊国神社裏で1羽、2003年4/13に市民の森で1羽、などと記録はきわめて少ない。
ヤマガラは現在も複数羽が滞在中で、最多6羽を観察している。越冬して春には繁殖を密かに期待しているのだが。
過去2002年9月に一日のみ6羽の記録があるが、これだけの数の飛来は1996年の秋以来実に8年ぶりである。
夏鳥だがノビタキの飛来も特筆もの。数年に一度、1羽が見られる程度だが、今秋は10/10西の丸庭園で1羽を初認以後、最多は10/10にヘリポートと空堀で計6羽を観察。当然この数は初記録である。
ミヤマホオジロも10/24からこれまでの6日間で計7羽。昨年まではひと秋に1羽が見られるかどうかだった。今秋は記録を始めて以来の飛来数。
その他エナガ、ビンズイ、キクイタダキなど、記録の少ない種が次々と飛来している。
多くの野鳥が飛来することは、大阪城公園をフィールドにしている私にはうれしい出来事だ。
しかし、動物が生息できないように山が変化しているとすれば、これが一番恐ろしい。
65号掲載(2004年11月)