いつもと違う冬
謹賀新年。
昨年は37年間の勤務を終え、トリミニストとして独立したことや、住み慣れた法円坂から城東区鴫野西へ転居したことなど激変の一年だった。
生涯の大きな岐路は全て通り過ぎ、終着駅に向かう、単線のレールの上を気楽に走るだけと思っていた。
しかし、人生なかなかそう単純には歩ませてくれず、多忙な日々に追われる毎日。
皆様方にはどのような年だったのだろうか。鳥運とともに、今年も素晴らしい年になる事を心から祈っている。
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早い春の訪れ、桜が一斉に開花し、夏鳥たちの飛来も早かった昨春。
夏からいきなり冬がやってきた昨秋。そのせいか紅葉がいつになく美しく、見慣れた公園にもあらためてカメラを向けたくなった。
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この気温の変化と関係あるのだろうか、今冬は各地から珍しい冬鳥の便りが多い。
大阪城公園の鳥たちもいつもの冬とは違うことがあった。
例えばキクイタダキ20羽±、エナガ16羽、アカハラ24羽など、群れの飛来は観察を始めて以来の出来事である。
また、例年ひと冬に数羽が見られるかどうかのルリビタキも、11月15日から20日ごろをピークに次々飛来し、17日には飛騨の森、豊国神社裏、天守閣東配水池、音楽堂西側上など各所で12羽を観察。
一日でこれだけの数が観察できたのは初めてのことだ。
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なかでも一番の変化はホシハジロとキンクロハジロの飛来数の激減だろう。
記録を付けはじめて以来これほど少ない年はない。
例年は10月の中旬ごろから到着し始めると日増しに増えて、11月中旬から12月中旬にかけてピークをむかえる。
多いときは3000羽を超えるホシハジロやキンクロハジロが、南外堀や北外堀に羽を休めるのだが、どうしたことか今冬は、その10分の1程度しか飛来していない。内堀のマガモやヒドリガモも少なくいつもと違う冬。
そういえば各地の池や川でもカモが少ないような気がするのだが。大阪城公園以外でも同じ状況なのだろうか。
今年の全国一斉調査の結果を楽しみにしている。
56号掲載(2003年1月)