クロツグミ
先月の下旬。淀川の豊里大橋近くの河川敷にオガワコマドリが出て話題になった。そのせいだろうか、大阪城公園はカメラマンが少ない。
朝一番の太陽の広場東の森はひと気がなく、シジュウカラやキビタキのさえずりだけが響く。林床でシロハラ、ツグミ、クロツグミ、アカハラが採餌している。
太い木の根に腰かけて休む。林床でのんびり採餌している鳥たちが遠くに見える。犬の散歩の人が通るとアカハラが飛び上がる。シロハラやツグミはまったく驚かない。ここで一冬過ごした越冬組はかなり人なれしている。
1羽のクロツグミが飛び立って一気に東側の道路際の林に移る。もう1羽は私が願ったとおり徐々に近づいてくる。双眼鏡で見ていると先ほどから落ち葉の下の何かを食べている。くちばしが少し汚れている。そっとカメラを向ける。しかし朝の林の中は暗い。感度を1600まで上げる。
もう少し近づいてきて。そうそう顔を上げて。よしよしいい子だ。男前だ。しばらく二人で間を楽しむ。先ほどから頭上のキビタキがさえずりやまない。数十枚シャッターを切る。特にこれといった写真でない。ただ林床にクロツグミがいるだけ。
意識していないのに頭の中に ♪ありのままの~♪ ディズニーのアニメーション映画「アナと雪の女王」の主題歌。
一人で静かに鳥見していると、時に人生を考える事がある。過去の思い出や、これから先の自分。
朝から酒を飲んで、温泉に入って、鳥を見て、さえずりに包まれて緑の中に座っている。人生で一番いい時かも知れない。
もちろん過去、死にたいほど辛いこともあった。バカな行為もたくさん。でもここまで生きてきた。クロツグミが一段と近づいてくる。アカハラが再び下りてきた。メジロもさえずり始めた。