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すずめ
窓からすぐ下に見える第二寝屋川を毎日数羽のアオサギが通過する。ゴァーと、お世辞にもほめられない鳴き声で通過する。カワウが飛んでいくこともある。
ベランダの餌台にパンの耳を小さくちぎって置くと、スズメがやって来る。数羽のスズメが押し合い追いかけあいして取り合う。多いときは十羽ほどが騒いでいる。
今春、植木鉢の間を妻が掃除をした。取り除いたごみに気づくと枯れ草がリング状に集められて、その中に数個の卵があった。急いで元の場所に戻したがだめだった。
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学校からの帰り道に側溝でスズメのヒナを拾ったのは中学生のときだった。
上の開いた大きな段ボール箱に入れておいたが、隅で動かず鳴くばかり。翌朝、賑やかな声で目が覚めた。窓の外のスズメと盛んに鳴き交わしている。
翌日から窓を少し開けておくと出入りするようになった。数日後、気づくと段ボール箱の中は空になっていた。
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スコープを購入した。以前から検討していたものだ。口径は80ミリ程度。ピントは使い慣れた鏡胴をつかんで回すもの。防水でフードは組み込み。などと思いを少しずつ固めていた。
絞り込むとスワロフスキーの８０ミリが一番近いが値が高く思い切れない。ニコンの７８ミリはやや中途半端。ピントリングの件を我慢すれば、やはりプロミナーの８２ミリが気になる。ツァイスの８５ミリも候補から外し難い。
９月６日ニコンから８２ミリの新製品発売。気持ちは一気に傾いた。９月１５日タイガースが優勝した。記念セールで予想以上に安く買えた。東京人は高い事を自慢するらしいが、大阪人は安い事を自慢する。これはちょっと自慢。
大阪城公園へ出かけた。スコープの試しにとキビタキなどを探すが見られない。冷夏のせいか秋の渡りはやや不調だ。
梅林にスズメの群れを見つけたので色々試す。あれやこれや熱中していると、いきなり声をかけられた。
突然でよく聞き取れず、一瞬遅れて、「スズメ」と返事をしたが、怪訝な顔をされた。名前は思い出せないがどこかで会った記憶はある。
男性は少し先で立ち止まり、双眼鏡で私のスコープの向けられた方向を一心に見ている。
新しく買ったのでと説明に行くのも変だし困った。
60号掲載（2003年10月）
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