双眼鏡。
実は双眼鏡おたくである。これまで多くの双眼鏡を使ってきた。今手元に残っているのは2台のみ。一台は「ライカ10×50BA」明るいが、肩にずっしりと食い込む重さが欠点。
もう一台は「キャノンの12×36ISⅡ」双眼鏡としての基本設計は悪い。しかし、防振装置が気に入って常用している。
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四国へタカの渡りを見に行った。前夜から車中泊。早朝、車の中からはい出しバーナーに火を付ける。カップラーメンの包装をはがす。東の空はまだ薄暗い。二日酔いは大丈夫。しかし初めての場所なので詳しい状況が分からない。
辺りが少し明るくなってきた頃、やってきた車から二人の男が下りてくる。手慣れた様子で三脚や椅子を出し準備している。地元のベテランバーダーの雰囲気。落ち着いた頃を見計らって声をかけると、彼らもあいさつを返す。
その瞬間、大きい方の男の目線が私の胸の双眼鏡に落ちたのが見えた。私の胸にはキャノンの「防振」双眼鏡が下がっている。
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この双眼鏡、ベテランで使っている人を見たことがない。
かなり以前のこと、音楽堂西側上の小道でこの双眼鏡を胸に下げたバーダーとすれ違った瞬間、「初心者」だと思ったことがあった。
今自分が逆の立場で見られているのが分かる。案の定、観察ポイントを教えてくれながら、「防振は不要。倍率は8倍もあれば十分・・・」などなどご指導をいただく。
各地へ鳥見行の場合は「郷に入れば郷に従え」が私の基本姿勢。そこを見続けている方が詳しいに決まっている。素直に返事していると話が進んで最近出ている珍鳥情報なども教えてくれる。「外には出してない情報だ」と言いながら。
初心者には優しいのがバーダー。あるいは、初心者には私も含めて「教えたがり」になるのがバーダー。お陰で、聞いても教えてくれない地元情報が入ってくる。この双眼鏡すぐれものかもしれない。