雨のキジバト。秋を待ちかねて。
前号にも書いたスーパー銭湯の露天風呂、植え込みにキジバトが1羽。鳴きながら上空を通過するカワラヒワとメジロは見たが、庭に入ってきた野鳥は初めて。
BGMは「カナカナカナカナ」とヒグラシの鳴声に変わっている。地方の旅館、風呂上りの窓際で、ビール片手に涼んでいると山から聞こえてくる。清涼感があり、何となく物悲しいあの鳴声だ。
大阪城公園ではほとんどクマゼミ。近くで聞いていると頭が痛くなって、しばらく耳鳴りが残ってしまう。
しかし大阪城公園でもクマゼミだけでなく、最近減少しているがアブラゼミもいる。他にもニイニイゼミ、ツクツクボウシ、ミンミンゼミなどの声を聞く事もある。
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小雨が降り出したが、家にいるのも落ち着かず出かける。雨の中を傘をさして歩いていると、豊国神社裏道で、傘の中に双眼鏡を胸に下げた鳥友の顔が見える。彼もたまらなくなって出てきたようだ。
しかし、鳥が見られる訳でもなく、言っても仕方ない事を一方的に話すだけ。
昼になったので、連れ立って本丸の食堂へ向かう。カツ丼を注文し、上に乗ったカツと漬物を肴にビールを飲む。
雨降りは天気が悪い、などと愚痴ばかり。窓の外は今も雨が降り続く。
2本目が空になる頃には、ほどほど酔った気分。カツ丼のカツが無くなると、ただの汁かけご飯。しみ込んだ汁味でご飯をかき込む。いい年をしたおっさん、惨めな姿。窓の外はなおも雨が降り続く。
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窓越しに霞む木々を眺めていると、梢でキジバトが雨に打たれている。
やがて片方の羽を広げて、わざと雨滴にさらしてシャワーを浴びるような仕草。片方が終わると、反対側の羽も同じように、ゆっくり広げて雨水を浴びる。まるで日光浴しているうように。雨も気にせず水浴に利用している。
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銭湯で計ったら体重が3キロオーバー。境界型の糖尿病、主治医から常々食事と運動を指示されているが、夏期はどうしても運動不足になる。しかし食欲も飲酒欲も落ちないので困る。酔っ払って愚痴っていないでプラス思考でいかなければ。
キジバトがもう1羽飛んできてとまる。やはり窓の外は雨が降り続く。
74号掲載(2006年7月)