謹賀新年
新品の下駄を下ろしてもらう事がうれしかった正月。やがて気がつけば、特別なものでなくなっていた。しかし今年は、いつもと気分が違う正月を迎えた。ひと月足らずで満60歳になる。いわゆる還暦だ。
60年前の丁亥(ひのとい)の年に生まれた。いろいろな事があったけれど60年間無事に過ごせた事を素直に喜びたい。
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私の同期の連中が定年を迎える年でもある。先日、新聞に団塊世代のアンケートが載っていた。定年後、老後の不安の一番と二番は、やはり健康と経済的問題だった。これはよく分かる。
ところが何番目かに「する事がない」と言うのがあった。驚いた。約15%くらいだったと記憶しているが。
定年後は、地域活動に積極的に参加するとか、趣味の世界をもてと言われるが…。われわれ鳥見人は「やりたい事」が多くてありがたい。珍鳥情報に東奔西走する人、地元をじっくり探鳥する人、仲間と鳥談義を楽しむ人など。現役で働いているときよりも忙しい日々を過ごしている人をたくさん知っている。
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興味の対象は動物、植物、鉱物と年齢とともに変化するらしい。子供のころは動物園を好んだり犬や猫などペットを飼ったりする。やがて異性に大きな興味をもつ。新緑を求めて出かけたり公園の緑を好んだりする。歳を重ねると庭木や盆栽いじりを始める。そして美石・水石、焼き物などに興味を示すのが最後。
バードウオッチングはもちろん動物。多くの鳥友がいるが動物に興味を持ち続けているだけに生き生きしている。
頭と体を使う趣味でもある。野鳥は21世紀のテーマでもある環境にも直結している。団塊の仲間たち、バードウオッチングはお勧めだ。
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一年の計は元旦にあり。今年はこれまでの観察記録をまとめて上梓する予定だ。その後は大阪城公園の観察も続けながら、昔よく行ったように、全国各地へ鳥見行に出かけて地元のうまい酒も飲んで、60歳からの新しい鳥見スタイルを楽しみたい。「する事がない」なんてとんでもない!。人生は60からが面白い。新しい靴を下ろして、さあ出かけるぞ。
75号掲載(2007年1月)