それは「ニシオジロビタキ」でいいのか?
過日、播磨中央公園にオジロビタキ(写真上)を観察に行ってきた。喉から胸に橙色のある可愛い奴。最近の分類ではニシオジロビタキとされる。大阪城公園でも今期越冬しているのと同じ種だ(写真下)
ただし、私は心の中に湧き起こる疑問を消すことができない。本当にニシオジロビタキでいいのか?
もともと亜種として分けられていた。ヨーロッパ種が亜種パルーバ。シベリア種が亜種アルビキラ。(学名の表記は国際動物命名規約に決められたものだが読み方には規定がない。今は使われないラテン語をどう読み言葉にするかは学者によって違う)
ロシア中央を南北に走るウラル山脈が、ヨーロッパとアジアを分けている。 この山脈の西に分布するのがヨーロッパ種(パルーバ=ニシオジロビタキ)。日本に近い東に分布するのがシベリア種(アルビキラ=オジロビタキ)とされている。10年ほど前からそれぞれ独立した種とされるようになった。
過去、日本で種オジロビタキはかなりの珍鳥。出ただけで大騒ぎ、日本で見られるのはすべてシベリア種(アルビキラ=オジロビタキ)が常識だった。
ところが1997年11月16日天守閣東配水池で観察されたオジロビタキを、ヨーロッパ種(パルーバ=ニシオジロビタキ)だとした小林氏の考えは衝撃を与えた。
「大阪城公園鳥だより」に掲載したところ大きな反響。「何をバカな。素人の考え」とされた。
しかし、現在の考えの主流は、日本で見られる多くはヨーロッパ種(パルーバ=ニシオジロビタキ)だとされる。
この流れを簡単に整理すると
①日本にはシベリア種(オジロビタキ=アルビキラ)が飛来して、ヨーロッパ種(パルーバ=ニシオジロビタキ)はいない。と言われていた時に、これはヨーロッパ種(パルーバ=ニシオジロビタキ)だと。
②素人の間違った意見だ。と否定された小林氏は、ヨーロッパ種の本場である、イギリスとフィンランドに手紙と写真を送った。
その結果、英国王立鳥類保護協会のイアン・ドースン氏と、フィンランドのハンヌ・ヤニス氏から回答があった。
この鳥は「ヨーロッパ種(パルーバ=ニシオジロビタキ)です。日本初記録です。鳥学会に報告すべきです」とこれまでの考えを覆した。
③その後、日本で見られるのは、ヨーロッパ種(パルーバ=ニシオジロビタキ)ばかり。シベリア種(アルビシラ=オジロビタキ)はこく少数だと全く正反対になってしまった。
④否定された素人の意見が正しかったのだ。180度、意見が変わってしまったのに、最近では多くのベテランや詳しい人が当然のように「日本で見られるのは、ほとんどヨーロッパ種(パルーバ=ニシオジロビタキ)」だと述べる。
何となく気に入らない。
ここまでが経過と現状。
しかし私は、それを再度否定したい。ウラル山脈から日本に近いシベリア種より、山脈の西のヨーロッパ種(パルーバ=ニシオジロビタキ)の方が多いのは納得できない。(何でや?)
ウラル山脈東側で繁殖する「ウラルオジロビタキ(仮)」とした種がいるのでは。日本によく見られるのはヨーロッパ種(パルーバ=ニシオジロビタキ)でなく、ウラルオジロビタキ(仮)だ。
これが独立した種であるのか、何らかの中間個体なのか、あるいは亜種なのか分からないが、私がこの世から消えるまでに答えが出ていることを期待。
多くの人が言うから正しいとは限らない。素人が自由に想像するのも野鳥の楽しみ。