カモフラージュ 〜生死をかけた嘘?〜
台風、豪雨続きだった今年の秋、気が付けばもう夏鳥の姿はなく冬鳥や漂鳥が次々姿を現す、間もなく蝶も冬支度を始めるだろう。晩秋を迎え賑わいを見せてくれる野鳥たち、それに反比例し蝶と出会うのは難しくなる。せめて成虫越冬の蝶に出会えないかと僅かに期待しているのだが。
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これまで冬に休眠中の蝶は確認出来ていないが、冬期中に活動し大阪城公園で越冬していると思われる種は幾つかいる。12月はクロコノマチョウ、キタテハ、ムラサキシジミ、ウラギンシジミ、キチョウ。1月はテングチョウ。2月はキタテハ、アカタテハ。観察日はいずれも冬期にしては暖かな日、蝶が活動できる気温に達したのだろう。
しかし長い冬の間、殆ど動けない状態で外敵から身を守り、よく生きていられるものだなと毎春感心されられる。
お気付きの方も多いと思うが、成虫越冬する蝶の多くは裏面が枯葉模様、閉翅状態で枯葉に成りすまし見事に外敵の目を欺く。大阪城公園では上記の種で裏面が木の葉模様でない種はウラギンシジミとキチョウ。しかし彼らにも取って置きの擬態術が。
ウラギンシジミ冬眠個体を観察された方の話では、樫の葉の裏で冬眠しているという。白い翅を持つウラギンシジミ、目立つのではと思いきや常緑広葉樹である樫の木は下から覗くと非常に暗い、ところどころに日光が当たり葉を照らす、その照葉している葉の色に似ているのだという。太陽光を利用した擬態術、お見事のひと言。
キチョウはと言えば。春先は非常に素早く広範囲に飛翔するため直ぐに見失ってしまうが、越冬間近のこの時期は飛翔も遅く静止を確認出来る…はずだが。
目の前でひらひら飛んでいた個体が急に姿をくらます、その周辺に近付き探していると直ぐ横から飛び出すこともしばしば。そして静止を確認する。なる程飛翔時は鮮やかな黄色がよく目立つが枯葉にぶら下がると…お見事!
繁茂した草むらで自分と同色の枯葉に擬態しているのだ。
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長い冬を生き抜くため身につけた擬態術。一歩越冬場所を間違えるとそれ即ち死。生死をかけた冬の蝶、その姿をこの眼で確かめてみたい。
一方、各界では人を欺き信用を失墜させる虚偽疑惑が続出、命まで取られる訳ではない、真実を公表し誠実な謝罪をして信用を取り戻す姿をこの眼で見たいのだが…
それでも言い訳は“ミステイク”? 本当は“カモフラージュ”でしょ?