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73回タイトル

頑張れ幼虫。

春の渡り鳥シーズン終盤、先週まで枝先の新緑に見え隠れしながら、此処かしこでムシクイ達のさえずりが聴けていたのに、突然水を打った様に静かになってしまう。そんな頃に現れる蝶に、ゴマダラチョウがいる。
蝶のイラスト黒と白のまだら模様で、林を好む蝶だ。幼虫はエノキの葉を食べ、成虫はクヌギやヤナギの樹液に集まる。腐った果実にも集まるが花には来ない。里山ではカブトムシやカナブンと樹液を吸っている姿を目にする事もある。都市部では減少してきたと言われるが、大阪城公園では少なからず見る事が出来る。パタ・パタ・スィースィーと羽ばたきと滑空を織り交ぜた飛び方で、ハイタカ属のそれに似ている。エノキの梢で、まとわり付く様に飛んでいるのは交尾相手を求める♂か、あるいは産卵を控えた♀なのだろう。
蝶の中には、成虫で冬を越すもの、蛹で越すもの・・・と種によって様々である。この蝶は幼虫で越冬する。エノキが黄葉する頃に幹を伝って根元に降り、落葉の中で春を待つ。新芽の頃には幹を登って枝先にたどり着く。
2005年早々、大阪城を訪れた。カモ達がここでも少ない。カラの混群にヤマガラを見た。淀川にも9月に入って以来ずっと居付いていたっけ。そう言えば、山では大好物のエゴノキは殆ど実をつけなかった。コナラも壊滅だった。そんな中で、市民の森ではトラツグミが目についた。林床で落葉をめくっている。
「ヨシ!今日はトラツグミになってみよう。」そう決めて落葉をあさってみた。ゴマダラチョウの幼虫探しだ。気掛かりがあった。ここでは都市公園の宿命とも言うべき、薬剤散布を受ける。アメリカシロヒトリ・イラガ・ドクガ等の幼虫駆除が目的だろうが、影響を受けないはずは無い。更に追い討ちをかけて落葉を掃除して取り去ってしまうからだ。見つかるだろうか?。
市民の森にあるエノキの根元で一枚一枚落葉をめくりながら幼虫が張り付いていないか調べる。時折、首を伸ばしたトラツグミがこちらをのぞき込んでいる。“変わった奴がいるゾ”とでも言わんばかりだ。果たして…見つけた。1.5cm程で枯葉色をしている。続いて飛騨の森でも、梅林脇のエノキでも見つかった。計11匹。短時間に、しかも予想以上の数、安堵した。
エノキの近くを飛ぶゴマダラチョウのイラスト順調にいけば最初の成虫が5月に、そして夏の盛りに次世代、秋の渡り鳥の頃に孫世代が飛び立つことだろう。トラツグミやシロハラに見つからない様に、上手く落葉の中に紛れろよ!ムシクイ達は厄介だぞ、数の多さに加えて、一枚一枚葉を確認する様なあの動き、カモフラージュでやり過ごせよ!幼虫を手にすると変な老婆心を抱いてしまう。
弱肉強食の生存競争だけで無く人間からの攻撃もかわして、長くその姿を大阪城公園で見せ続けて欲しいものである。

73号掲載(2006年4月)

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