珍鳥現れる。
大阪城公園の鳥をライフワークとして見続けながらも、初めての鳥との出会いを求めて遠方へ出かけることもあります。そのたび心躍らせて深夜の高速道路を一人走っていますが、本当は大阪城公園でいろいろな鳥たちに会いたいと思っています。
ところが春の渡りで夏鳥たちが賑わい始めたころ、市民の森に変わったツグミの仲間がいるとの話し。なんとヨーロッパに生息するウタツグミです。図鑑によると1987年に神奈川県横浜市で観察されただけ。日本での記録は2回目の超珍鳥です。それがホームグランドにしている大阪城公園に出たのですから、正直いって信じられないほどの驚き。
自由に大空を飛ぶ鳥たちも、思いつきや気ままにどこにでも飛んで行くわけではありません。ウタツグミはヨーロッパからアフリカ大陸を行き来しているようですが、間違って日本にやって来るにはあまりにも方向が違いすぎ。また離れすぎているようです。そこでシベリアや中国に生息している亜種や別種ではないかとの説もあります。
こんなに大騒ぎしているのですが、今号に寄稿いただいたトムの話では、ヨーロッパでウタツグミは、日本でムクドリ程度に見られる、珍しくも何ともない普通の鳥だそうですが、ウタツグミの目に大阪城公園はどのように写ったのでしょうか。
11号掲載の巻頭言より(1995年6月)