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大阪城公園の野鳥タイトル

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73回タイトル

●年間の観察種数
16年間の観察種の総数は148種であった。年間平均すると約100種。最も少なかったのは1991-92年の83種、最も多かったのは1996年と2002年の105種であった。
年間の観察種数に大きな変化はなく非常に近い数となった。これにより大阪城公園では年間100種強の野鳥が観察できることが分かる。
一方、数には大きな変化はないが、種については年により特定の種が多かったり極端に少なくなったりして、毎年数種から十数種の入れ替わりがあった。今後も十年単位の長いスパンでみると変化すると思われる。
観察種の多くはシベリア、大陸東部、東南アジアなどから飛来しており、多かれ少なかれその地域の環境変化を反映しているだろう。

●月間の観察種数
1993年、1997年、2001年、2005年の4年間を抽出して比較すると、月間の観察種数の推移に大きな差異はみられない。4月と10月に二つの山ができ、その間が大きく落ち込んだ谷となる。
この傾向は例年同じで、16年間大きな変化はなかった。これは、この公園で周年生息する種が少なく、夏鳥や漂鳥の季節的な移動にともなう通過が大きく影響しているためである。
具体的に月ごとの観察種数の推移をみると、6月から8月の夏期が最小期になるが、これはほとんどの鳥が繁殖地に行くためで、この公園で繁殖種の少ない結果である。
8月の中旬以降から、いわゆる秋の渡りが始まり、南下する夏鳥の通過が徐々に増え始める。10月には漂鳥や冬鳥の移動も加わって一気に増加しひとつのピークを迎える。
11月には秋の渡りが終わり、夏鳥が見られなくなり減少する。しかし、冬鳥や漂鳥が越冬するため冬期間は比較的安定して推移する。
3月には冬鳥や漂鳥の季節的な移動が始まることにより再び徐々に増加し始め、4月中旬から、夏鳥が次々と飛来通過することで一気に増加しピークを迎える。5月中旬になると春の渡りの終了にともなって減少し始め、夏期の最小期へと続く。
 
●出現パターンの分類
記録した148種を出現パターンに分類し、大阪城公園の鳥相を概観すると次のとおりである。記録期間中に著変があったものは直近数年間の記録に従っている。

  1. 冬鳥型が最も多く42種28.6%で、主なものはヒドリガモやキンクロハジロなどカモ類、オオタカやハイタカなどタカ類、ユリカモメやセグロカモメなどカモメ類、ジョウビタキやツグミなどの冬鳥、トラツグミやルリビタキなどいわゆる漂鳥など広範囲にわたる。
  2. 迷鳥型は38種25.2%で主なものは、カンムリカイツブリ、アマサギ、ダイサギア、アマツバメ、カヤクグリ、ミソサザイなど、他の地域では普通に見られる種であるが、大阪城公園ではまれな飛来であるものと、アカハシハジロ、クビワキンクロ、メジロガモ、カラアカハラ、ホシムクドリなど全国的にも珍しい種がある。
  3. 旅鳥型は32種21.8%で、ツツドリ、コマドリ、コルリ、キビタキなど夏鳥として全国に渡来するもので、渡りの中継地として春秋に通過するものが多い。
  4. 留鳥型は18種12.2%で、キジバト、コゲラ、シジュウカラ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラスなど毎年繁殖しているものと、ゴイサギ、コサギ、アオサギ、セグロセキレイなど近辺で繁殖し採餌のために飛来するものがある。
  5. 春型は8種5.4%で、ミゾゴイ、キレンジャク、ヒレンジャク、アカハラ、オオヨシキリなど。
  6. 秋型は7種4.8%で、ハチクマ、サシバ、ノビタキ、サメビタキ、エゾビタキなど。春秋の季節的な移動時期に通過するが、春か秋のどちらかのみ通過するものである。
  7. 夏鳥型は3種2.0%で、コチドリ、コアジサシ、ツバメの3種であるが、採餌のために飛来するもので、ほとんどツバメの記録である。

大都市の中央にある都市の公園で、これだけ多くの野鳥が観察されたことは大変興味深く貴重な記録である。公園が人だけでなく、多くの野鳥の生息場所として機能していることをあらためて認識させられた。
21世紀が自然との共生、環境の世紀といわれるが、都市の自然についてひとつの示唆を与えるものである。
野鳥の生息状況は環境の変化に直結する。20年後30年後の大阪城公園の野鳥はどうであろうか。

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