大阪城公園は大阪市のほぼ中央に位置し、代表的な観光地としてまた多くの市民に憩いの場として親しまれている。位置は大阪平野の中央を南北に走る上町台地の一番高くなった北端にあり、高速道路、高層ビル、JR環状線などに囲まれた都市の公園である。
●観察種
16年間に記録された種は15目39科87属の148種であった。日本の野鳥542種(日本鳥類目録改訂第6版-日本鳥学会2002年)の27%にあたり、また大阪府で記録されている約332種(大阪府鳥類目録2001-日本野鳥の会大阪支部)の44%にあたる。
【カイツブリ科】2属3種 カイツブリ ハジロカイツブリ カンムリカイツブリ |
【ウ科】1属1種 カワウ |
【サギ科】6属7種 ミゾゴイ ゴイサギ ササゴイ アマサギ ダイサギ コサギ アオサギ |
【カモ科】5属17種 オシドリ マガモ カルガモ コガモ トモエガモ オカヨシガモ ヒドリガモ オナガガモ ハシビロガモ アカハシハジロ ホシハジロ クビワキンクロ メジロガモ アカハジロ キンクロハジロ スズガモ ミコアイサ |
【タカ科】6属8種 ミサゴ ハチクマ トビ オオタカ ツミ ハイタカ ノスリ サシバ |
【ハヤブサ科】1属2種 ハヤブサ チョウゲンボウ |
【クイナ科】2属2種 クイナ オオバン |
【チドリ科】2属2種 コチドリ ケリ |
【シギ科】4属4種 イソシギ チュウシャクシギ ヤマシギ オオジシギ |
【カモメ科】2属2種 ユリカモメ セグロカモメ カモメ ウミネコ アジサシ |
【ハト科】2属2種 キジバト アオバト |
【カッコウ科】1属5種 ジュウイチ セグロカッコウ カッコウ ツツドリ ホトトギス |
【フクロウ科】3属3種 コノハズク アオバズク フクロウ |
【ヨタカ科】1属1種 ヨタカ |
【アマツバメ科】1属2種 ヒメアマツバメ アマツバメ |
【カワセミ科】2属2種 アカショウビン カワセミ |
【ヤツガシラ科】1属1種
ヤツガシラ |
【キツツキ科】3属4種 アリスイ アオゲラ アカゲラ コゲラ |
【ツバメ科】2属3種 ショウドウツバメ ツバメ コシアカツバメ |
【セキレイ科】1属4種 キセキレイ ハクセキレイ セグロセキレイ ビンズイ |
【サンショウクイ科】1属1種 サンショウクイ |
【ヒヨドリ科】1属2種 ヒヨドリ |
【モズ科】1属1種 モズ |
【レンジャク科】1属2種 キレンジャク ヒレンジャク |
【ミソサザイ科】1属1種 ミソサザイ |
【イワヒバリ科】1属1種 カヤクグリ |
【ツグミ科】8属16種 コマドリ ノゴマ コルリ ルリビタキ ジョウビタキ ノビタキ イソヒヨドリ トラツグミ マミジロ カラアカハラ クロツグミ アカハラ シロハラ マミチャジナイ ツグミ ウタツグミ |
【ウグイス科】6属8種 ヤブサメ ウグイス シマセンニュウ オオヨシキリ メボソムシクイ エゾムシクイ センダイムシクイ キクイタダキ |
【ヒタキ科】3属8種 マミジロキビタキ キビタキ ムギマキ オジロビタキ オオルリ サメビタキ エゾビタキ コサメビタキ |
【カササギヒタキ科】1属1種 サンコウチョウ |
【エナガ科】1属1種 エナガ |
【シジュウカラ科】1属4種 コガラ ヒガラ ヤマガラ シジュウカラ |
【メジロ科】1属1種 メジロ |
【ホオジロ科】1属7種 ホオジロ カシラダカ ミヤマホオジロ シマノジコ ノジコ アオジ クロジ |
【アトリ科】6属8種 アトリ カワラヒワ マヒワ ベニマシコ ウソ コイカル イカル シメ |
【ハタオリドリ科】1属2種 ニュウナイスズメ スズメ |
【ムクドリ科】1属3種 コムクドリ ホシムクドリ ムクドリ |
【コウライウグイス科】1属1種 コウライウグイス |
【カラス科】2属3種 カケス ハシボソガラス ハシブトガラス |
●科別の記録数
科別ではカモ科が17種で最も多い。これは毎冬キンクロハジロ、ホシハジロなどが越冬に飛来することや、まれにオシドリやミコアイサなどが漂行してくるためである。ただし全体の12%を占めるに過ぎず圧倒的に多い訳ではない。
また、東西南北の4か所と内堀の計5か所の堀があり、人が入れないため昼間にカモが安心して羽を休めることができる環境によるところも大きい。
次に多かったのはツグミ科16種であった。これは春秋にオオルリ、キビタキなど夏鳥が多く通過することと、冬期間にはジョウビタキやツグミなど冬鳥が大陸から越冬のため飛来すること、イソヒヨドリやトラツグミなどが漂行してくるなどのためである。
これは大阪城公園が渡りの中継地として、また越冬地として、都市の中で緑の環境が機能しているためである。
三番目には、タカ科、ウグイス科、ヒタキ科、アトリ科が8種で続き、四番目はサギ科、ホオジロ科が7種である。非常に多科にわたって記録されている。
●山野の鳥と水辺の鳥
記録した148種を、山野の鳥と水辺の鳥に分けるとおよそ72:28となる。日本全体では約50:50であるが、それに比べると水辺の鳥が占める割合が少ない。
都市の中の公園であることや、水辺は垂直に切り立った堀のため、採餌や休息に適応できる種が少ないためである。城南地区に人工の流れがあるが、時々水が止められるため魚やドジョウなどが育たないことや、子供たちが入って遊ぶため、水鳥など自然の生物のための水辺としては機能していない。